高次脳機能障害の取り組み

高次脳機能障害は非常に広い意味があります。
また研究者により見解が大きく分かれる分野でもあります。
本日は私の個人的な高次脳機能障害の意見を書きたいと
思います。
私は学者でもなく現場で働く一人の理学療法士なので
主観的に観察して感じたことを書きます。
私は慢性疾患を患う高齢患者さんを多く担当しています。
全てではないですが多くの患者さんは介助を必要としています。
このブログを読んでいる全ての人はいくつになっても
自分の身の回りのことは自分でしたいと思っているでしょう。
私の担当患者さんも同じです。
だれ一人としてトイレや食事や着替えなどは他人の手を借りて
したいと思ってはいないと思います。
それは出来ない理由があるのです。
ベットからの車椅子移乗や立ち上がり歩行障害の多くは
高次脳機能障害の中でも失行と失認が原因になっています。

失行と失認が原因である場合、口答指示(言葉で人を動かそうとする)
ことが無効であることが多いです。
「あなたもっと膝の力を入れてしっかり立ちなさいよ」などの
指示をすればするほど動作が出来なくなってきます。
そのような時どうすれば良いでしょうか?
それは出来ない動作をそっと介助します。
しかし介助しすぎると自立出来なくなるので最小限の介助で
できる動作の範囲を広げていきます。

上のイラストはトイレ動作の介助を説明しています。
出来ない部分を繰り返して訓練しようとするセラピストがいますが
それは出来ないことを余計意識させてしまうので
出来ないことを意識させると失行と失認は余計悪化していきます。
出来ないことを意識させずにそっと介助して一連の動作を
練習します。何回も同じことをしないことです。
訓練時間がありますがその時間の中に必要な動作訓練を
患者さんが一連の動作として行うように設定します。
以上が私の心がけている高次脳機能障害の取り組みです。

本日、ご紹介する本はPTOT必読の書ですが
DR、PTOTのみならず看護師さんや介護士さんにも読んで欲しい本です。
運動療法 第三版 医歯薬出版です。
特に第7章 脳卒中に対する運動療法です。
脳卒中に限定して書かれています。
私個人の感想なのですが脳卒中のみならずアルコール性認知症や
アルツハイマー型認知症の運動障害にも有効だと考えています。


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